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《獣医師コラム》【愛犬・愛猫のトイレ問題】~トイレトレーニングについて~

トイレトレーニングは、ワンちゃん・ネコちゃんを新しく家族として迎えたら最初に行う重要なトレーニングの一つです。

決まった場所での排泄ができないと、掃除の回数が増えてオーナー様の負担になってしまうだけではなく、ドッグカフェなどの施設を利用しづらくなってしまったり、災害時に避難場所での生活が困難になってしまう可能性があります。

人間とペットがともに快適に過ごしていくために、決められた場所でしっかり排泄できるようにしておくことが大切です。
今回は、ワンちゃん・ネコちゃんのトイレトレーニングの手順やポイントについてご紹介します。

トイレトレーニングを開始する時期

ワンちゃん・ネコちゃんをお迎えしたら、なるべく早めに開始しましょう。

ワンちゃんの生後3~12週齢頃、ネコちゃんの生後2~8週齢頃は「社会化期」と呼ばれ、他の動物や人間、外の世界に順応するために様々なことを吸収し学習する期間です。
この時期はトレーニングなどの習慣付けに最適な時期であり、社会化期に学習したことは成犬・成猫になっても定着しやすいといわれています。

もちろん、成犬・成猫になってからでも遅くありません。
すでに自分にとってのトイレルールが出来上がっている場合、トレーニングに時間がかかることがありますが、根気よく教えてあげることでトイレの場所を覚えてくれるでしょう。

ワンちゃんのトイレトレーニング

用意するもの

①ペットシーツ
ワンちゃんの体に合わせたサイズのものを用意しましょう。
胴の長いワンちゃんは、トイレで排泄したつもりでもお尻がはみ出してしまうことがあるので、大きめのサイズを選ぶと良いでしょう。

②ケージまたはサークル
ケージやサークルを使って範囲を区切ると、トイレトレーニングが効率よく開始できます。
ただし、ケージやサークルがワンちゃんにとって「落ち着ける場所」になっていることが前提です。普段からケージやサークルの中でごはんやおやつを与えるなど、落ち着いて過ごせる場所だと覚えさせてあげましょう。決してケージやサークルを「ワンちゃんを閉じ込める場所」にしてはいけません。

③トイレトレー
ペットシーツがズレないように使うグッズですが、段差がつくことでワンちゃんにとってもトイレと床の区別がしやすくなるというメリットがあります。また、ペットシーツを噛んでボロボロにしてしまうワンちゃんにもおすすめです。

④ご褒美
トイレできちんと排泄ができた際にご褒美を与えると、効率よくトレーニングを進められます。
トイレ近くの愛犬が届かない場所に、細かくしたおやつを事前に準備しておくと良いでしょう。

手順

(1)ケージやサークル内一面にペットシーツを敷き詰めます。

(2)排泄しそうなしぐさ(そわそわする、床のニオイをかぎながらうろうろするなど)が見られたらケージやサークル内に連れていきましょう。
子犬の場合、寝起きや食後、遊んだ後に排泄することが多いので、タイミングを計りやすいでしょう。
また、普段からトイレの記録をつけておくと、排泄の傾向が把握しやすいです。

ケージやサークル内でのトイレに慣れてきたら、徐々にペットシーツを置く範囲を狭めていきます。

(3)時間をかけ徐々にペットシーツの範囲を狭め、最終目標の範囲のみ残します。希望の場所と違う場所での排泄が定着してしまったら、少しずつペットシーツの位置をずらしていくことで誘導してあげましょう。

ポイント

(1)しっかり褒める
きちんと排泄できたら、大げさなくらいしっかりと褒めてあげましょう。褒めるのと同時にご褒美を与えると「ここで排泄をしたら良いことがある」と覚えてくれるので、徐々に決められた場所で排泄するようになります。

ご褒美は、排泄が成功したらすぐに与えましょう。時間があいてしまうと、何に対してご褒美をもらえたのか分からなくなってしまうので注意しましょう。

(2)失敗しても叱らない
トイレを失敗しても、決して叱ってはいけません。排泄行為そのものを叱られたと勘違いし、オーナー様から隠れて排泄をするようになってしまう場合があります。

また、大きな声で構ってもらえたと勘違いし、叱る行為がワンちゃんにとってのご褒美になってしまう可能性があります。そうなってしまうと、もっと構ってほしくてトイレ以外での排泄が習慣化してしまいます。

そのため、失敗してしまったときは、しばらくワンちゃんを一人にして無視しましょう。
「悪いことが起きる」よりも「良いことが起きない」ことの方がワンちゃんの学習には効果的です。

ご家族全員が同じ対応をするように協力しましょう。人によって対応が異なるとワンちゃんも混乱してしまい学習が上手くできません。

(3)失敗してしまった場所はしっかりと掃除を行う
排泄物のニオイが残っていると、そこをトイレだと認識してしまいます。
トイレを失敗してしまったら速やかに片付け、消臭スプレーなどでニオイもしっかりと落とすようにしましょう。

上手くいかないときは

(1)トイレの設置場所の見直し
カーペットの上などにペットシーツを設置した場合、感触が似ているため間違えてしまうことがあります。フローリングなど、感触の違う床の上にペットシーツを設置すると良いでしょう。また、トイレトレーを組み合わせて使用すると、段差ができて床との境界がさらにはっきりします。

普段ワンちゃんが生活しているスペースからトイレが遠すぎると、いつ排泄しているのか確認ができず、しっかり排泄できていても褒めてあげられないため、なるべくオーナー様の目の届く場所に設置してあげましょう。

(2)トイレサイズの見直し
体はペットシーツに乗っているのにお尻がはみ出して失敗してしまう場合、ペットシーツやトレーのサイズが体に合っていない可能性があります。
トイレのサイズは、体の2~3倍が理想的といわれています。愛犬とトイレのサイズを確認してみましょう。

はみ出してしまったときにはご褒美を与えず、きちんとトイレ内に収まったときだけご褒美を与えるようにしましょう。

ネコちゃんのトイレトレーニング

用意するもの

①猫用トイレ
オーナー様の目の届く範囲で、静かな場所に設置しましょう。
ネコちゃんによってトイレの好みは様々ですが、一般的にはカバーのないトイレを好むネコちゃんが多いといわれています。ネコちゃんが出入りしやすいものを選びましょう。

②猫砂
トイレの中に、ネコちゃんが掘っても底が見えない程度の深さに敷きましょう。
様々な素材・香りの猫砂が販売されていますが、トイレと同様にネコちゃんによって砂の好みが分かれるので、無香料のものから始めるといいでしょう。また、猫砂を変更する場合は、少しずつ混ぜてゆっくり切り替えましょう。

野良猫出身など、屋外での排泄に慣れているネコちゃんの場合、初めは土や砂を使用し徐々に猫砂に切り替えるとうまくいく場合があります。(植木鉢などの土で排泄してしまう可能性があるため、猫砂での排泄がしっかりできるようになるまで植木鉢などはネコちゃんのアクセスできない場所に避難しておきましょう。)

手順

(1)排泄しそうなしぐさ(そわそわする、床のニオイを嗅ぎながらうろうろする)が見られたらトイレに連れていきましょう。
子猫は食後に排泄することが多いので、食事が終わったらその都度トイレに連れて行ってあげましょう。

(2)トイレで排泄ができたらよく褒めてあげます。
ワンちゃんと同様、褒める際にご褒美を与えるとさらに効果的です。排泄を確認したらすぐに掃除しましょう。
そこをトイレだと認識させてあげるために、慣れるまでは排泄物のニオイを少しだけ残しておきます。

ポイント

(1)しっかり褒める
(2)失敗しても叱らない
(3)失敗してしまった場所はしっかりと掃除を行う
(4)ネコちゃんの頭数+1個トイレを用意する

キレイ好きなネコちゃんは、トイレが汚れたままだとそこで排泄しなくなってしまうことがあります。トイレを複数用意しておくと、夜中や留守の際などお掃除ができないときでもキレイなトイレを選べるので便利です。

上手くいかないときは

(1)毎回トイレの近くで排泄する場合
そこがトイレだと認識しているものの、何らかの原因によってトイレを使いたくなくなっている場合があります。

【原因】
トイレに汚れやニオイが残っている
猫砂の素材や香りが好みに合わない
トイレの形や大きさなどがネコちゃんに合わない など

【対策】
汚れ・ニオイが残らないように日頃の掃除を徹底する
砂の種類を変えてみる(素材、粒の大きさ、香りなど)
トイレの変更(大きさ・深さの変更、縁の有無、カバーの有無など)

(2)毎回トイレから離れた場所で排泄する場合
ネコちゃんにとって排泄に適さない場所にトイレが設置されている可能性があります。

【理想的なトイレの設置場所】
・普段ネコちゃんが生活している部屋から近い
・静かで人の出入りが少ない
・食事や水を飲む場所から近すぎない

トイレがうまくできない場合、トイレそのものやトイレの設置場所が問題の場合があります。猫ちゃんのトイレ環境を今一度見直してみましょう。

まとめ

今回は、ワンちゃんネコちゃんのトイレトレーニングについてご紹介させていただきました。
トイレトレーニングはあせらずゆっくり進めてあげることが大切です。
失敗しても決して叱らず、ちゃんとできたらよく褒めてあげましょう。

急にトイレを失敗するようになった、回数が変化した、排泄物の見た目の変化などが見られる場合は、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。

 

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