こんにちは。レティシアンスタッフのHです。
外出先からでもネコちゃんやワンちゃんの様子を確認できるペットカメラが普及してきましたが、ネコちゃんを飼われているオーナー様は、ネコちゃんが普段おうちでどのように過ごしているか観察したことはありますか?
ペットカメラを設置したものの「ネコちゃんはずっと寝てばかり」と驚かれた方もいらっしゃるでしょう。
猫の語源は「寝る子」 や「寝子 」と言われているように、一般的に “猫=よく寝る” というイメージがあります。皆様のおうちのネコちゃんたちも1日のほとんどを寝て過ごすことが多いのではないでしょうか。
今回はそんな猫の「睡眠」にまつわるお話をさせていただきます。
目次
猫の行動の性質
早朝からごはんの催促をされたり、夜に急にハイテンションになり走り回ったりすることから、猫は「夜行性」だと思われがちですが、実は「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」に分類されます。
薄明薄暮性とは、「明け方や日没後の薄暗い時間帯に活発になること」です。猫の獲物となるネズミなどの小動物もこの時間帯に活発になります。
猫は肉食動物かつ単独行動をする生き物なので、野生では狩りをして食べるものを確保できないと生き残ることができませんでした。狩りを効率的に行うために 獲物となるネズミなどの小動物に活動時間を合わせたことから、薄明薄暮性になったと言われています。
狩りを成功させるカギとなるのは「睡眠」です。1回の狩りでもかなりの体力を消耗するため、活動時間以外は寝て体力を温存するようになったそうです。猫がよく眠るのは野生時代の名残と言えるようです。
猫の睡眠の特徴と1日の睡眠時間
「いつも寝ている」というイメージがある猫ですが、実際に1日のうちどのくらいの時間を寝て過ごしているのでしょうか?
人間も猫も、睡眠中は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が繰り返されています。
「レム睡眠」 とは、体は深く眠っているのに脳が活発に動いている状態で、夢を見たり金縛りにあったりするときはレム睡眠の場合が多いです。一方の「ノンレム睡眠」は脳も体も休んでいる状態のことを言います。ノンレム睡眠は、ステージ1、2は浅い眠り、ステージ3、4は深い眠りというように4つの段階にステージ分けされています。
人間の場合は深い眠りの「ノンレム睡眠」が睡眠の8割ですが、猫は浅い眠りの「レム睡眠」が8割を占めているそうです。
猫の1日の睡眠時間は生活環境によって大きく変わりますが、成猫で14時間、子猫は18時間、哺乳期では20時間以上(!)にもおよぶと言われています。
しかし、猫はレム睡眠の割合が多いため 、少しの物音でも起きてしまいます。成猫だと睡眠時間が10時間に満たないことも珍しくなく、短いときには7時間ほどになることもあるようです。これは「敵の気配を察知し瞬時に動く 」という野生本能が残っていることが関係しています。猫は極端に長時間睡眠をしているように見えますが、睡眠のほとんどがレム睡眠のため、実は私たち人間が思っているほど十分な睡眠がとれているわけではないのです。
逆に、物音を立ててもまったく起きない・反応がないときは、体に不調が出ているサインかもしれないのでよく観察してみてください。危険信号として以下のような兆候が見られる場合があります。
・隠れてなかなか出てこない
・体重が減少した
・嘔吐する
・以前のように活動的ではなくなった
これらのような症状がみられ、いつもと様子が違う場合は、かかりつけの動物病院で診てもらうようにしましょう。
猫が寝ているときの可愛い姿
おうちのネコちゃんは普段どのような体勢で寝ていますか?
猫が眠るときの体勢には、その時々の心理状態が現れているそうです。
1.香箱座り
香箱座りとは、おなかの下に手足と尻尾をしまい込んだ状態のことを言います。この姿が香を入れる香箱に似ていることからこの名前が付けられています。
両前足を折り曲げて座る香箱座りは、急に立つことができない体勢です。つまりリラックスしている状態のときに見られることが多いと言われています。
しかし、同じ香箱座りでも前足の置き方で心理状態が違うのだとか。以下のどのパターンに当てはまるか、ぜひ観察してみてください。
・前足をクロスしている
通常の香箱座りよりもさらに立ち上がりにくく、よりリラックスしている状態と言われています。
・完全に前足をしまっている
香箱座りの中でも上位にランクインするほどのリラックス状態だと考えられます。
・前足の裏を床につけている
腰を下ろして休んではいるものの、前足の裏が地面についていて、立ち上がりやすい体勢なので、リラックス度はやや低めと考えられます。
・片前足を伸ばしている
香箱座りで曲げ続けていた足をストレッチするため、片方の前足をのばすことがあります。目の前に興味のあるものがあるときも同じように片方の前足だけ出してちょっかいを出すこともあるそうです。
2.横向きで手足を伸ばして寝る
この体勢、横を向いて手足をだらんと伸ばし、おなかが半分見えている状態のことを指します。この体勢で寝ているときは基本リラックスしている状態で、安心していることが多いと言われています。
3.へそ天
その名のとおり、おなかを完全に出して寝ている状態のことを言います。足の置き方には決まりがなく、おなかが丸出しであればすべてへそ天と呼ばれます。
へそ天で寝ているときは大切な臓器をさらしていることになるので、このときはとてもくつろいでいる状態だと言われています。
寝るときの体勢によってリラックスの度合いの診断ができますので、おうちのネコちゃんが普段どんな体勢で寝ているのか観察してみるのも面白そうですね。
起きている時間は何をしている?
1日の半分以上を寝て過ごしている猫ですが、残りの起きている時間はいったい何をしているのでしょうか?
もちろん猫によって過ごし方はさまざまですが、猫が費やす時間の多い順に3つご紹介します。
1.窓の外を眺める
ネコちゃんが起きているときは、窓の外を眺めている時間が一番長いと言われています。この行動は自分のテリトリーに敵が侵入してこないかの監視をしたり、リラックスをしたり、日光浴などをしたりといった意味合いになります。
敵の侵入を窓際で監視している最中に、実際に知らない人や生き物が現れると警戒はするものの、自分のテリトリーに入ってこないことが分かると「守り抜いた」という安心感や達成感から、ストレス解消につながると考えられています。縄張り意識の強い猫にとって監視はとても重要な行為なのです。
また、猫は安心できるテリトリーの中で、動くものを見たり、物音を聞いたりすることでストレス解消ができると言われています。人間で例えると、公園のベンチに座りながら景色を見たり、部屋でぼーっとテレビを見ていたりするような感覚に近いそうです。
また、窓際で日光浴をした体を毛づくろいすることで、ビタミンDを摂取することができます。日光浴には血行を良くする・内臓の動きを促進する・皮膚や毛の殺菌をするという効果があります。猫が日光を浴びる習慣があるのは、自分の健康を保つためでもあります。
外を眺める行為は猫にとって心や体の健康を保つためにとても重要なことなので、猫が快適に過ごせるよう窓際にスペースを確保してあげると良いでしょう。
2.毛づくろいをする
毛づくろいは、体の汚れを落としたり毛並みを整えたりする以外にも、自分のニオイを付けて気持ちを落ち着かせる作用があります。オーナー様や他の動物に毛づくろいをするのは親愛の証なので、ネコちゃんになめられた場合は毛づくろいの代わりに頭をなでてあげるなどお返しをしてあげると良いでしょう。
3.遊んだり、運動したりする
猫にとって遊びとは、野生時代の「狩り」の疑似体験をするために欠かせない時間です。キャットタワーの上り下りや、部屋を走り回る運動も健康を維持するために大切なことです。飽きっぽい性格のネコちゃんは、長時間遊ぶより短時間の遊びの方が好きなので、短時間の遊びを何回かに分けてあげると良いでしょう。
猫の過ごし方の上位3つをご紹介しましたが、おうちのネコちゃんに当てはまる過ごし方はありましたか? ネコちゃんごとに個性が出ると思いますので、お時間があるときに、ぜひネコちゃんの過ごし方を観察してみてください!
まとめ
猫の睡眠についてお話をしてきましたがいかがでしたでしょうか。
今まで猫は夜行性だと思っていたスタッフHですが、本コラムを執筆している中で夜行性ではないということを知り少し驚きました。というのも、実家で飼っている猫は日中はほとんど寝ていて、人間が寝静まると大運動会を始めるので、てっきり夜行性だと勘違いしていました(笑)
また、猫はレム睡眠の割合が多く、長い時間寝ていてもぐっすり眠れている時間はほんの少ししかないということを知って、実家の猫が寝ているときはなるべく大きな音などを立てないように気をつけようと思いました。
このコラムが少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。