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【愛犬のリハビリ】~注目されるハイドロセラピーについて~

2023.12.20

#健康#犬
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こんにちは、スタッフのSです。

以前こちらのコラム(【ペットに関わるお仕事について】~国家資格となった「動物看護師」など~)でペットに関わるお仕事についてご紹介させていただきました。色々なお仕事がありますが、獣医師や愛玩動物看護師などは有名でしょう。しかし、その中に “動物のリハビリの専門家” がいることはご存知でしょうか?

今回は、犬のリハビリ・理学療法についてご紹介します。

医療技術の進歩に伴い、ペットの寿命が延びています。リハビリの需要も増えているそうで、いま注目の職業といえるでしょう。

犬のリハビリについて

自分の思うように動けなくなってしまうことは、犬にとって生活の大きな障害となってしまいます。大好きな散歩にいけない、自力で排泄ができない、お友達と遊ぶことができないなど、今までできていたことができなくなってしまった際のストレスは計り知れません。

人間であれば、元の生活に戻るべく努力することもできますが、犬たちはその努力の仕方がわかりません。そこで犬たちが元の生活に戻れるようにサポートをするのが、犬のリハビリテーションです。

目的

 

・術後の疼痛、炎症の軽減
・関節拘縮の予防
・萎縮した筋肉の筋力維持、増強
・神経機能の回復

 

主に神経疾患(椎間板ヘルニアなど)、整形外科的疾患(膝蓋骨脱臼、前十字靱帯断裂、レッグ・ペルテス病、骨関節炎、骨折など)による機能および形態障害に対して、外科手術後や回復期に、様々な治療法により改善を図ります。また、手術不適応な場合でも適切なリハビリによって改善が期待できます。

なお、加齢に伴う筋力低下や可動域が狭くなることを防ぎ、生活の質の向上・維持を目的とする場合にもリハビリは大変おすすめです。

 

種類・内容

・物理療法

寒冷療法:保冷剤を術創周辺部位にあて、手術後の腫れ・熱感・炎症に対し、抑制効果を与え、痛みを軽減する。鎮痛効果も期待できる。
(術後/外傷後3日以内の急性期に行うことが多い)

温熱療法:慢性的な痛みの緩和・神経機能の改善・組織伸展性の改善、血流がよくなることでリハビリ効率の向上が期待できる。

超音波治療法:より深い部分を温めることができるので、筋炎や骨折・前十字靱帯断裂などに使用される。

低出力レーザー療法:損傷や障害に対してレーザー光を照射すると、細胞内のミトコンドリアに作用して、細胞が活性化する。
この効果を利用してその部位の組織の治癒促進や疼痛緩和を促す。

電気刺激療法:電気刺激により筋肉の緊張と弛緩を繰り返し、筋力のアップを促す。
痛みを緩和する効果があり、局所の循環をよくして、炎症を緩和させる。
神経疾患・整形外科疾患に効果がある。

高気圧酸素療法:全身の細胞に溶解型酸素を供給することで、組織再生能力・自然治癒力・免疫力向上が期待できる。

・マッサージ

リンパ液および浮腫を移動させ、筋膜の可動域が広がり、血流が改善される。

・徒手療法

関節可動域訓練:適切に肢の曲げ伸ばしをすることで、関節可動域の改善が期待できる。

ストレッチ:病的に短縮した軟部組織を伸ばすことで、関節可動域の改善が期待できる。

・運動療法

バランスボール/バランスボード:ゴムボールに乗せて弾ませたり、安定に動くボードの上に乗せバランスを取ったりすることで、バランス感覚の改善や、関節周囲の筋力強化などの効果がある。

カバレッティレール:レールをまたいで歩くことで、関節可動域の改善やバランス感覚の改善、筋力強化などの効果がある。

ダンシング:両前肢を持ち上げ、後肢で歩かせることで、後肢の筋力強化や関節可動域の改善が期待できる。

・水治療法=ハイドロセラピー

水中トレッドミル*:後に詳しく説明

リハビリの内容は様々あり、複数の治療法を組み合わせて行うことが多いようです。

今回は現在注目を浴びている「水治療法=ハイドロセラピー」について、スポットライトをあててご紹介したいと思います。

 

ハイドロセラピーについて

ハイドロセラピーとは

水の持っている力と特性を最大限に利用して、犬の「体」と「心」を癒し整える、もっとも効果的な水治療法のこと。理学療法に基づき、水の力を借りてプールやスパ、その他専門機材(水中トレッドミルなど)を用いて行う、体の矯正や水中トレーニング施術です。これらを総称して「ハイドロセラピー」と言います。

 

~水中トレッドミル*(ウォータートレッドミル)について~

プールとウォーキングマシーンを組み合わせたような水中歩行器のことで、水圧と浮力を利用して足腰にかかる負担を減らし、無理なく体を動かすことができます。

随意運動(意識的に足を動かすこと)は可能だが歩行困難な犬のリハビリや、関節拘縮の予防・筋力維持・増強のためのリハビリに非常に効果的です。

また、25℃~30℃に設定された水温もリハビリに有効とされています。

 

起源・歴史

人のリハビリを目的としたハイドロセラピーは、ギリシャ・ローマ時代から行われていたようですが、動物のリハビリとしては19世紀に入ったころ、競走馬への施術として始まりました。その後イギリスを中心としたヨーロッパやアメリカで、ドッグレースに出場する犬のリハビリとして、さらにペットの犬たちへと広く施術されるようになりました。

日本では1975年に中央競馬会(JRA)のトレーニングセンターに競走馬のプールが設置され、1995年頃から犬を中心としたペットに対する理学療法が徐々に広まりました。

目的・効果

 

・筋力、持久力の向上
・老犬の筋力維持、回復
・バランスの改善
・四肢の協調性向上
・他動的/自動的関節可動域の改善による関節の柔軟性の向上
・体重の負荷の調節が可能であるため関節負担を軽減
・陸上ではあまり使われない筋肉の使用率が高まる
・心拍出量の増加、肺活量の増加
・暑い季節でも運動量の維持が可能
・健康維持、促進
・運動不足とストレスの解消
・メンタルケア、リラックス効果
・皮膚のトラブルの改善と予防
・アジリティドッグのメンテナンス、ボディコンディショニング

 

水泳や水中歩行・水中での立位維持・バランス練習等に加え、水中でリラックスした筋肉の状態を利用して関節可動域運動やマッサージ・ストレッチなどを施すとより効果がみられます。

ハイドロセラピストの役割

ハイドロセラピーはすべての犬に対して同じように行われるわけではなく、目的に合わせてプログラムを作成し、もっともベストな方法で行います。そのためにセラピストはオーナー様とじっくりと話し合い、普段の生活から症状までをきちんと把握し、さらにかかりつけ医からの獣医学的な指示や、専門医からのアドバイスを受ける必要があります。

なお、ハイドロセラピーを実施する上でもっとも大切なことは「犬が安心してセラピーを受けられること」です。快適な運動へと導いてあげることによって、犬たちは楽しみながらセラピーを受けることができます。犬も人と同じで、どんなに完璧なプログラムであっても辛いことや苦痛なことは長続きせず、思ったような効果がみられないことがあるため「安心・楽しい」プログラムの作成が求められています。

ハイドロセラピストになるには

ハイドロセラピーは欧米では普及していますが、日本ではハイドロセラピーの関連施設がまだ多くありません。ハイドロセラピストになるためには、日本国内のセラピストのもとで修業するか、欧米のハイドロセラピー施設で学ぶことが理想のようです。日本国内での修行の1つとして、民間の資格を取得できる協会がありましたのでご紹介します。

・ジャパンケイナインハイドロセラピー協会(JCHA)

イギリスで長いハイドロセラピーの実績を持つCHA(Canine Hydrotherpy Association)の教育プログラムをベースに、日本の犬たちの抱える問題、性格などを考慮に入れたセラピスト育成プログラムを受講したものに資格が与えられる。

・動物理学リハビリ国際協会 アプリア(APRIA)

主に犬・猫のリハビリをあたり前にする為、全国でセミナー活動やプロへの教育を行なっており、リハビリテーションの基礎を学んで身に付けたもののみ、ハイドロセラピーを学ぶことができる。正しい知識を習得したものに資格が与えられる。

 

理学療法士について

ハイドロセラピストのお仕事について調べていくと、ハイドロセラピーに限らず、リハビリを施す専門家の中でもさらなるスペシャリスト「動物理学療法士」にたどり着きました。

動物理学療法士の資格について

動物愛護などを推進している海外、特に欧米では、すでに1980年代から動物に対する理学療法が始まっています。イギリスやオーストラリアでは「動物理学療法士」という国家資格が存在し、アメリカにはCCRP (Certified Canine Rehabilitation Practitioner) やCCRT (Certified Canine Rehabilitation Therapist)という動物理学療法に関する認定資格があります。動物医療専用のリハビリテーションセンターも存在するほど、動物理学療法は発展しています。

残念ながら、日本国内では「動物理学療法士」の国家資格はまだ存在しないため、職種として確立されていません。しかしカリキュラムなどに動物理学療法が組み込まれている動物看護系の専門学校もあり、徐々に日本国内でも浸透し始めています。一獣医学・動物看護系の専門職から派生して、動物理学療法士を目指す人が多いようです。

また近年、人の日本理学療法士協会の中に「動物に対する理学療法部門」が設立されたことから、人の理学療法士から動物理学療法士を目指す人も出てきているそうです。

 

日本国内における動物理学療法士の所属について

・日本動物リハビリテーション学会

欧米の動物リハビリテーション関係者との情報交換の場を保ちながら、日本における動物リハビリテーションの普及ならびに研究の進展に貢献することを目的としている。

・日本動物理学療法研究会

「動物」を対象とした理学療法に関する教育・臨床・研究を目的としている。人医療と獣医療それぞれで培われてきた知識と技術、両者の理解と研鑽で、日本での獣医療界におけるリハビリテーションのスタンダードが確立されることを目標にしている。

いずれのコミュニティーも、「人医療関係者や欧米の動物リハビリテーション専門家と協力し、日本でのリハビリテーションを普及させよう」という点が共通していました。

欧米のワンちゃんたちへのケアが日本でも受けることができる日が来るように、日本国内における動物理学療法士に期待したいと思いました。

 

まとめ

このコラムをご覧くださった皆様の愛犬も、いつかシニア犬になるでしょう。また、もしものことがあってリハビリが必要になる可能性もあります。そんな愛犬の生活の質の向上・維持のためリハビリを取り入れようと思ったとき、日本のリハビリテーションが普及しているといいですよね。

今回、日本の動物リハビリテーションが発展途上ということを知り、私自身、その現場を見てみたいと思うようになりました。当店とご縁がある、動物看護系の学校である学校法人ヤマザキ学園のキャンパスには「コンパニオン・アニマル・センター」が併設されており、こちらではハイドロセラピーを行っているとのこと。後日施設を取材させていただけることになりました!取材内容についてはまた改めてご紹介させていただきます。

 

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