こんにちは。レティシアンスタッフのMです。
先日、我が家のネコがまだ子猫だった頃の写真を見ていて、気づいたことがありました。
それは、「子猫の頃と今とで眼の色が変わっている」ということです。
子猫の頃は、眼の色がブルーグレーのようでしたが、今はグリーンのグラデーションがかったような色になっていたのです。
なぜ眼の色が変わったのか気になってその理由を調べてみると、子猫の頃は「虹彩(※注1)」に眼の色を決めるメラニンという色素が沈着していないことから、ブルーグレーのような色になるのだそうです。
普段何気なく見ていたネコちゃんの眼の色ですが、成長するにつれて変化があったり、眼の色にいくつもの種類があったりと、意外と知らないことが多いのかもしれません。今回はこの機会に、ネコちゃんの眼の色についてお話しさせていただきます。
冒頭でご紹介した子猫特有の眼の色であるブルーグレーは「キトンブルー」と呼ばれています。生後2ヶ月くらいの子猫は、虹彩にメラニン色素があまり沈着していないために眼の色がブルーグレーのような色に見えます。生後3ヶ月くらいから成長するにつれて徐々に変化していき、生後6ヶ月~8ヶ月頃にはそのネコちゃん本来の眼の色に変わるそうです。
成長して変化した眼の色は、大きく分けて「ブルー、グリーン、ヘーゼル、アンバー、カッパー」の5種類となります。眼の色はネコちゃんの遺伝によって決まり、メラニン色素の量によって違いが出るそうです。
それでは、それぞれの眼の色についてご紹介いたします。
目次
ブルー
最もメラニン色素の量が少ない眼の色で、ほとんど透明に近い色です。「シャム」「ラグドール」などでは、ブルーの眼であることが必須条件で、異なる色の場合、その品種として認められないそうです。そしてブルーの眼の色のなかにも濃淡があり、ブルーを中間色として、色の濃さによって「サファイアブルー」や「アクア」などとさらに分類されているそうです。
また、「ブルーの眼+白い毛」のネコちゃんの場合、遺伝子の関係で耳が聞こえないことがあるそうです。これには「W遺伝子」(W=white)という毛色を決定する遺伝子が関係しています。この遺伝子の働きによって「メラノサイト」というメラニンを作る細胞が正常に作られなくなるため、毛や虹彩に含まれるメラニンの量も少なくなり、毛が白く、眼が青くなります。このメラノサイトは、メラニン色素を作るだけでなく、内耳が正常に機能するために必要になるので、メラノサイトが少ないと聴覚に異常が出ることがあります。
実は「ブルーの眼+白い毛」のネコちゃんの難聴は古くから知られていて、ダーウィンの『種の起源』にも記載があるほどです。人間にも同様の遺伝性疾患があり、「ワーデンブルグ症候群」という名前で知られています。
グリーン
ブルーほどではありませんが、グリーンもメラニン色素がとても少ない眼の色です。グリーンは洋ネコちゃんに多くみられる眼の色で、代表的なネコ種として「ロシアンブルー」があげられます。また、日本では昔、グリーンの眼の色のことを「翡翠(ひすい)」と言っていたそうです。
余談にはなりますが、色素がほとんどないにも関わらず、眼の色がブルーやグリーンに見える理由は、光の反射によるもので、人間の眼にだけブルーやグリーンに見えているそうです。これは「レイリー散乱」と言われる現象で、メラニン色素がほんの少しでも眼の中に沈着していると、メラニン色素によって波長の短い青色系の光が散乱(反射)して、こうした色に見えるそうです。(空が青く見えることと同じ現象です)
また、日光が少ない環境ほど眼の色素が少なくなるとも言われており、寒い地域原産のネコちゃんなどはその傾向が強いそうです。
ヘーゼル
ヘーゼルは、グリーンからブラウンといったようなグラデーションがかった色で、イエローなど複数の色が混ざっています。グリーンよりも少しメラニン色素は多めで、名前の由来はヘーゼルナッツからきているそうです。
へーゼルナッツは「セイヨウハシバミ」の実のことで、はしばみ色=ヘーゼルナッツの色となることから、日本では昔、ヘーゼルの眼の色のことを「はしばみ」と言っていたそうです。
アンバー
ヘーゼルと同じようにグラデーションがかった色をしていますが、コハク色の単色です。イエローやゴールドとも言われていることがあります。
和ネコちゃんや雑種のネコちゃんに多くみられる眼の色で、「バーミーズ」や「シャルトリュー」がこの眼の色をしています。
カッパー
最もメラニン色素の量が多い眼の色です。銅色で見え方によっては茶色や赤色に見えます。
温暖な地域原産のネコちゃんなど、ブルーやグリーンと反対に日光を取り入れやすい環境にいたネコちゃんが多いため、メラニン色素の量が多くなったのではないかと言われています。
ここまで代表的な眼の色についてご紹介しましたが、眼の色は遺伝や毛の色に準じて決まるため、大まかな種類分けはできますが、その子特有であり、唯一無二です。特別感があってとても素敵ですよね。
続いては、少し珍しい眼の色についてお話しいたします。
オッドアイ
左右で眼の色が異なることを「オッドアイ」と言います。一度は名前を耳にしたことのあるオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。日本では「金眼銀眼」とも言われ、縁起が良いとされているそうです。
オッドアイは正式には「虹彩異色症」と言われ、片方の眼にだけメラニン色素の遺伝情報がのらない、先天性の色素異常です。どの毛の色のネコちゃんにも出現する可能性はありますが、特に白い毛の色をもつネコちゃんに多く見られるようです。
片方はブルー、もう片方はアンバーやカッパーという眼の色のケースが多く、右眼がブルーであれば右耳に、左眼がブルーであれば左耳に、先天的な聴覚異常が出ることが多いようです。これは眼と内耳は胎児のときの同じ細胞から発達するため、眼と同じ側の内耳でもメラノサイト(メラニン)が少なくなることが理由のようです。
また、事故や緑内障などの病気で虹彩部分に何らかの損傷を受けたことで、後天的にオッドアイになることもあると言われています。大人になってからオッドアイになった場合は、何らかの疾患が考えられますので、かかりつけの獣医師様にご相談ください。
ダイクロイックアイ
1つの眼に2つの色が混ざっている眼の色のことを「ダイクロイックアイ」と言います。
日本語では色の混ざり方(模様)によって、「中心型虹彩異色症」「扇形虹彩異色症」といった分類があるそうです。オッドアイの1つとして数えられますが、左右差のあるオッドアイよりもさらに出現割合は低いようです。
レッド
「アルビノ」として知られる、メラニン色素がまったく作れないネコちゃんでは、眼が赤くなります。これは、メラニン色素がないため虹彩で光の散乱が起きず、眼の奥の血管の赤色がそのまま見えているためです。また、メラニン色素がないため、毛の色も真っ白になります。
アルビノは正式には「先天性色素欠乏症」と言われ、遺伝や突然変異によって発生します。W遺伝子とは関係なく発生し、「メラノサイトは存在しているけれど、メラニン色素を作ることができない」という状態になるため、聴覚異常は起きないと言われています。紫外線に弱いため、室内飼いでも注意が必要です。
まとめ
ネコちゃんの眼の色についてお話しいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
少し難しい話しもあったかと思いますが、少しでもこのコラムが参考になるようでしたら幸いです。
ネコちゃんの眼は不思議とどこか吸い込まれるような美しさがありますよね。オーナー様の飼われているネコちゃんや、いつも遊びに来る外ネコちゃんは一体どんな眼の色をしているのか、見つめすぎないように注意しながら、ぜひ観察してみてください。