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【動物福祉・動物愛護とは】犬猫の殺処分をめぐる状況などご存知ですか?

2025.03.05

#取材#犬#猫
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こんにちは、レティシアンスタッフのSです。
皆様は「動物福祉」や「動物愛護」と聞くとどのようなことを思い浮かべますか?
私のイメージとしては、どちらも“動物を守る・大切にする・幸せにする”といったふわりとしたイメージで、具体的にどういった考え方なのか、どのような行為のことをさすのか明確ではありませんでした。オーナー様の中にも私と同じような印象の方がいらっしゃるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、まずは「動物福祉」と「動物愛護」それぞれについてご説明させていただいた上で、動物保護施設ではどのような取り組みをされているのか、どういった活動をされているのかご紹介します。
すでに知識をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、お付き合いいただけますと幸いです。

動物福祉 とは?

動物福祉の主体は「動物」であり、客観的に飼育環境、動物の状態を測定・評価し動物の生活の質(QOL)を向上させることを目的とした科学的・論理的・客観的なものです。
動物福祉の対象は産業動物(家畜)・実験動物・伴侶動物(ペット)および野生動物に大別され、動物福祉の指標としては産業動物を対象にした「5つの自由」や、実験動物を対象とした「3つのR」が知られています。その概念は伴侶動物(ペット)や人間が関与し得る限り、野生動物に対しても適用されるそうです。
「5つの自由」や「3つのR」について、動物愛護管理法にもこちらを遵法するように記載があります。

「5つの自由」 について

人間に飼育されている動物や、人間によって制限された環境にいる動物は、自らの意思で基本的なニーズを満たすことができないので、オーナー様にはペットのニーズを満たし、ペットができる限り快適に生活ができるようにする責務があります。
動物の基本ニーズ:生理的・環境的・心理的・社会的・行動的ニーズのこと
 

① 飢え、渇きからの自由
適切な内容の食事と新鮮な水を、適切な量与える
② 痛み、負傷、病気からの自由
日頃から定期的に健康チェックを行い、怪我や病気のときは適切な治療を受けさせる
③ 不快からの自由
清潔かつ安全な飼育場所を用意し、快適に過ごせるように努める
④ 本来の行動がとれる自由
動物の本能や習性に合った行動がとれるように工夫する
⑤ 恐怖、抑圧からの自由
恐怖を感じたり、苦痛に思ったりするような行動をとらないようにする

 

「3つのR 」について

実験動物を科学研究などに利用することは、生命科学の進展や医療技術などの開発のために必要不可欠ですが、実験動物が命あるものであることに鑑み、動物に対する感謝の念および責任をもって適正な飼養保管および科学上の利用に努めることが必要とされています。
 

・動物の苦痛の軽減(Refinement)
・使用数の減少(Reduction)
・代替法の活用(Replacement)

 
ここまでは動物福祉についてお話しました。
それでは動物福祉と動物愛護の違いは何なのでしょうか。続けて動物愛護についてお話します。

動物愛護とは ?

環境省が発表している資料には、“動物の愛護とは、動物の取扱いにその生命に対する感謝と畏敬の念を反映させること。「自然資源の WISE USE(賢明・良識的な利用)」の一概念”とありました。
動物愛護の主体は「ひと」であり、「可愛い・可哀想」などの心情的・感情的・主観的なものです。動物に対して人間が抱く意識や感情は、絶対的・固定的なものではなく、人・地域・時代により異なります。動物愛護の基本的考え方は、多様性に富んだ流動的なものになるので、「動物愛護管理法」の制定によって、万人に共通して適用されるべき社会的規範の設定と、定期的な「点検・見直し」が行われるようになりました。

動物愛護管理法について

▼以前にこちらのコラムでご紹介していますので、ぜひご覧ください。

動物愛護管理法は、多発するペット飼育のトラブルを改善することを目的として制定されたものです。トラブルの種類は様々ですが、その多くは今も昔も “犬猫の殺処分” へと繋がっています。ここで犬猫の殺処分をめぐる現状についてもご紹介します。

犬猫殺処分をめぐる状況 について

環境省の統計資料によると、日本国内での犬猫合計引き取り数、返還・譲渡数、殺処分数は以下のようになっています。

平成16年度と比較すると、犬猫合計引き取り数がほぼ8分の1、殺処分数はほぼ30分の1へと大きく減少していますが、それでも今なお11,906頭もの犬猫が殺処分されています。この悲しい現状を打開すべく、動物保護施設(保護団体)の方々が活動をされています。

動物保護施設(保護団体)にはどんな種類があるか

様々な動物保護施設(保護団体)が存在していますが、動物保護施設(保護団体)は大きく「行政機関」と「民間団体」の2つに分類されます。

行政機関

・保健所

保健所は厚生労働省が管轄しており、「犬や猫などの小動物を保護・管理する」施設で、犬や猫などの引き取り 、一時的収容 、収容犬猫の情報提示、 譲渡募集などのような役割を担います。保健所に預けられた犬や猫は、担当の課によって最低限の生活が一時的に保障されますが、新しいオーナー様を探すための譲渡会やしつけ教室などは業務外で、一定期間が過ぎた犬や猫は「動物愛護センター」へ引き渡されます。

・動物愛護センター

動物愛護センターは「動物に関する様々な業務」を行う施設で、犬や猫などの引き取り、捕獲、譲渡、動物愛護の啓発活動などを行います。 保健所と動物愛護センターは「どちらも動物を保護する場所」といった観点は同じですが、動物愛護センターでは「殺処分ゼロ」を目指すために、里親を探すための譲渡会やイベント、オーナー様を対象とするしつけ相談・しつけ教室などの役割も担います。

民間団体(動物愛護団体)

民間の動物愛護団体では、社会的なサービスの提供や社会問題の解決などに取り組んでいます。主な役割は「行政機関の手が回らない取り組みを実施する、または補う」ことです。
具体的には放浪ペットの保護や回収、物資や動物の輸送、一時預かり、譲渡対応、シェルターでの飼養管理、義援金や物資の募集、支援情報の広報などについて、寄付金や支援金をもとに運営しています。

身近なものとしては、まずは民間団体の「ボランティア団体」・「自治会」・「町内会」があります。
さらに法人としての活動となると、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した「NPO法人」や、NPO法人のうち実績判定期間(直前の2事業年度)において一定の基準を満たすものとして、所轄庁の「認定」を受けた「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」があります。その他にも「公益社団法人」「公益財団法人」「一般社団法人」「一般財団法人」があり、様々な形態で民間団体が取り組みを行っています。

ここではその中でもよく見聞きする「ボランティア団体」と「NPO法人」をピックアップしてご紹介します。

・ボランティア団体
ボランティアは、社会の課題解決のため、個人の自発的な意思に基づき、原則として無償でボランティア活動を行う個人のことで、その特徴としては一般に「自発性(強制ではない)」、「利他性(公益を目的とし、私益を目的としない)」、「無償性(報酬を目的としない)」が挙げられます。個人ボランティアが集まって活動を行う団体のことを「ボランティア団体」と言います。
活動内容はボランティア団体によって様々ですが、行政機関にて収容期限が近づいているまたは処分期限がきた犬猫を救うべく、里親探しなどに力を入れている団体が多いようです。

・NPO法人(特定非営利活動法人)
NPO法人とは、先でお伝えしたとおり、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人のことです。法人格を持つことによって、法人の名の下に取引等を行うことができるようになります。団体名義での契約締結や土地の登記など、団体がいわゆる「権利能力の主体」となり、団体自身の名義において権利義務の関係を処理することができるようになります。
ボランティア団体もNPO法人も、自主的・自発的に社会貢献活動を行うという点では同じですが、ボランティア団体の場合はどうしても活動内容が制限されてしまいます。その点、NPO法人は組織ならではの強みがあり、社会にある課題の本質をとらえ、仕組みを作り、様々な主体を巻き込みながら対処していくことができます。

規模の大小に関わらず、数多くの団体がそれぞれの目的を持って活動されています。さらに、行政機関・民間団体双方の協力があって多くの命が救われていることがわかりました。
なお、犬と猫の殺処分数を比較すると、犬2,434頭に対し、猫9,472頭と圧倒的に猫の頭数が多いためか、猫の保護施設が多いようです。
猫の保護はお預かりしてくれる方のご自宅だったり、民間団体の保護施設だったりしますが、最近は保護猫カフェが注目を浴びています。
調べていくと、NPO法人として活動されている「保護猫カフェ」があることを知りました。そしてご縁があって、NPO 法人東京キャットガーディアン様の保護猫カフェの見学・取材をさせていただきました。
次回コラムでその見学・取材内容をご報告させていただきますが、その前にここでは、保護猫カフェについて簡単にご紹介させていただきます。

保護猫カフェについて

保護猫カフェとは、その名のとおり保護猫がいるカフェのことです。ネコちゃんと触れ合うことができるという点は従来の猫カフェと同様ですが、保護猫を受け入れて里親を募集しているという点が異なります。“少しでも多くの猫を救いたい”という想いから、保護猫カフェを運営する非営利の民間の保護団体が増えているそうです。店内にてドリンクやフードを注文することでネコちゃんへの寄付にも繋がるなど、動物福祉の観点からもメリットの多い取り組みです。

保護猫カフェからのお迎えの仕方について

保護施設から保護猫をお迎えしようと考えた場合、譲渡会に参加することが一般的です。譲渡会は月に数回の開催であることが多いため、限られた時間のみの面会になります。
しかし保護猫カフェからお迎えする場合は、オーナー様のご都合で訪問することができます。家族としてお迎えすることをじっくり検討することができますし、ネコちゃんともリラックスした状態で時間をかけて仲良くなれるため、引き取り後のストレスが軽減されます。さらにカフェのスタッフさんとゆっくりお話をすることで、飼育上の不安点なども解消することができるように思います。

ぜひNPO 法人東京キャットガーディアン様の保護猫カフェの見学・取材報告をご覧いただけますと幸いです。

まとめ

動物福祉や動物愛護、動物保護施設についてお話しましたがいかがでしたでしょうか。私は我が家の犬が苦しみもなく快適な暮らしができるように努めようと改めて考えるいい機会になりました。また、殺処分されてしまうペットたちがいるということも知っているつもりでしたが、近年の数字を見ると世の中にはまだまだ多いのだと改めて実感し、とても悲しい気持ちになりました。殺処分されてしまうペットたちが減るように、私ができることを考えていきたいと思います。
 

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