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《獣医師コラム》【ペットフードの添加物】ペット用のフードやおやつに含まれる添加物は安全?役割と合わせてチェック!

みなさんは添加物と聞いてどのようなことをイメージしますか?
体に良くない、人工的な色の濃い食べ物、長期保存ができる、そんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
そんな私たち人の食生活でもよく耳にする添加物は、ペットフードにも含まれています。
今回は、ペットフードに使用される添加物の役割と安全性についてご紹介します。

添加物とは?

添加物とは、保存料・着色料・甘味料などフードの加工・保存の目的で使用されるものです。
人の食品で大昔から使われている食品添加物には、豆腐を固めるにがりや、漬物の塩などがあります。
ペットフードにも機能性と安全性を兼ねた下記のような添加物が広く使われています。

 

・人工的に合成されたもの

・天然由来のもの

・体に害があるもの、全くないもの

・法律で基準値が定められているもの、定められていないもの

添加物の大きな役割

ペットフードの添加物には様々な種類や役割があります。
目的別に添加物を紹介しますので、いつも与えているフードやおやつにどのような添加物が使用されているのか確認してみましょう。

 

品質保持のための添加物

酸化防止剤
ペットフードには多くの脂肪やビタミンが含まれています。
それらが空気にふれて酸化すると、ニオイの変化・味の劣化・色の変化・嘔吐下痢のような消化器症状が引き起こされます。
酸化防止剤は自身が酸化することで、他の食品が酸化するのを防ぐ添加物です。
例:エトトキシン、BHA、ローズマリー抽出物など

保存料
食品中の微生物やカビの増殖を防ぎ、保存性を高める添加物です。
ドライフードの多くは室温で長期保存されるため、ドライフードと関わりの深い添加物です。
例:ソルビン酸など

 

外観や味をよくするための添加物

着色料
犬や猫はあまり色を識別することが得意ではないですが、人は色の違いによく気づきます。
今回購入したドッグフードを開封したとき、以前と色が大きく違うと不安になると思います。
しかし同じ種類の原材料でも、季節によって色が変わったり、原産国が変更されて色が変わったりすることがあります。
そのため、商品の色調がいつも一定になるように着色料が使われる場合もあります。
例:カラメル色素、酸化鉄、二酸化チタン、青色2号など

発色剤
発色剤は色を鮮やかに見せるための添加物です。
着色料と一緒に思えますが、着色料はそれ自体に色があり、フードに直接色をつけて見た目を良くするためのものです。
それに対し、発色剤はそれ自体に色はなく、フードの色素に作用して本来の色を固定して安定させるものです。
また、細菌の増殖を抑制する効果もあるため、保存性を高めてくれるという効果もあります。
例:亜硝酸ナトリウムなど

甘味料
甘味料を使用すると食いつきが良くなるため、嗜好性を上げるために使用しているフードやおやつがあります。
人のガムで甘味料として使用されているキシリトールは、実は犬や猫が摂取すると血糖値が下がってしまう添加物ですので注意しましょう。
例:ソルビトール、グリシリジン・アンモニエートなど

増粘安定剤
増粘安定剤とは、文字の通り、粘り気を増やしてフードを安定させる添加物です。
「安定」という言葉には、分離を防いだり、フード自体を液状のものから固体のものへと固めたり、粘りやとろみをつけたり、様々な意味があります。
例:デンプン、カラギナン、グァーガムなど

 

栄養バランスを整えるための添加物

栄養添加物
人の食品添加物では「栄養強化剤」と言われている添加物で、フードの栄養分を強化したり、バランスを整えたりする添加物です。
ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、必須脂肪酸類などが挙げられます。
体内で作ることができない栄養素や、吸収するための変換が体内でできない栄養素が犬や猫で異なるため、動物によって必要な栄養添加物が変わってきます。
例:ビタミンA、タウリン、カルシウムなど

添加物の安全性について

添加物の基準と制限

ペットフードに使用される一部の添加物は、2009年6月に「ペットフード安全法」が施行されてから、安全性と使用実績を考慮して「この量以下でないとフードを製造・販売してはいけません」という基準値が定められました。
ある条件下で発がん性があることから、酸化防止剤であるエトキシキン・BHA・BHT、発色剤である亜硝酸ナトリウム、合わせて4種類がその対象になっています。
その他の添加物に関しては、各企業が様々な基準値を参考に安全性を確認しています。

確認すべき添加物

「ペットフード安全法」によって特に危険な酸化防止剤や発色剤は管理されていますが、他にも確認すべき添加物は存在します。
例えば先ほど紹介したキシリトールは、いまだに国産の犬用ガムやデンタルケアグッズに含まれていることがあります。
もちろん企業で安全な量と判断されて発売しているはずですが、キシリトールは微量でも重篤な状態になったり、大量摂取しても全く症状が出ず平気であったり、個体差の激しい成分です。
どのくらい摂取しても大丈夫かという目安の値は存在しますが、許容値は個体差がありますので、できるだけ避けたほうが安全です。

原材料表示の義務

人と同じように、原材料として添加物の表示も義務化されました。
また、添加物を酸化防止剤、保存料、着色料、甘味料、発色剤、増粘安定剤の目的で使用する場合は、何のために使われているのかが購入者に伝わるように、その用途名も一緒に記載することになっています。

添加物の確認方法

添加物を確認したい場合、まずは原材料欄をチェックしてみましょう。
より詳しく知りたい、分からないことがある、という場合は、公式のホームページで商品情報を調べたり、会社に直接問い合わせをしたりしましょう。
商品の場合、英語表記で分かりにくい部分もあるかもしれませんが、そのようなときは、販売元会社に問い合わせをすると、詳しく回答してくれる場合があります。

まとめ

添加物と聞くと悪いイメージを持ってしまいがちですが、天然由来であったり、研究で安全と証明されているものであったり、種類と量を間違えなければ問題ありません。
しかし、一つずつこの添加物はどれくらい含まれていて、どのくらいで毒性が生じるのかというのを調べるのは大変です。
最近は、無添加、天然由来の添加物のみ、栄養添加物のみといったフードやおやつも多く販売されているため、そちらを選ぶと便利かつ安全です。
ぜひオーナー様の納得のいく考え方で、愛犬・愛猫の健康を守るフードやおやつを選んであげましょう。

 

 

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